朝の光が、雲の窓からふわっと差しこんだ。
ハニャンは、くぅちゃんを両手でそっと抱きしめながら、空のむこうを見つめていた。
「みんなが幸せだと、ハニャン嬉しいの……」
つぶやいた声は、雲の庭にすっと溶ける。
そのとき――穏やかな声が、どこからともなく降りてきた。
「ハニャン。」
ハニャンは肩をびくっとさせて、きょろきょろ。
「か、神さま……?」
「うむ。」
声はやさしく笑った。
「お前は、どうしたい?」
「ハニャンね、みんなを幸せにしたい。泣いてる心が、ふわっと軽くなるように。
それで……ハニャンも、いっしょに嬉しくなりたいの!」
「良い願いだ。」
「だが“幸せになる正解”は、ひとつではない。正解は無いとも言える。
けれど、それを実現する方法は無限にある。」
ハニャンは首をかしげた。「むげん……?」
くぅちゃんをぎゅっと抱く。くぅちゃんの毛は、今日も少しクタクタだ。
「お前が憧れるラファエルも、天使になったばかりの頃は言っておった。
『優しさと癒しで、みんなを幸せにしたい』とな。」
「ラファエル……ハニャンの大好きな、あの——」
「そうだ。わたしはラファエルにこう告げた。
『もし優しさと癒しで人々を幸せにしたいのなら、まずは幾千もの優しさと癒しを知り、
それを自分の力へと昇華してみよ』と。」
ハニャンは目をぱちぱちさせる。
「ハニャンも……できるかな?」
「できるとも。小さな気づきからで良い。
誰かの『いま』をそのまま受け入れる優しさ。
背景を想って、そっと肯定する優しさ。
差し出す手、待つ心、寄りそう沈黙……。
それらを経験して学び、自分の翼にしていくのだ。」
風が、くぅちゃんの耳をふわっと揺らした。
ハニャンは胸の前で両手をぎゅっと握る。少しもじもじ、でも目はきらきら。
「……ハニャン、やってみたい!
たくさんの優しさと癒しを見つけて、集めて、みんなに届けたいの!」
「よい返事だ、ハニャン。」
「では、はじまりの約束だ。
見つけた優しさを、誰かの明日にそっと結びなさい。」
光が、羽のような粒になって降り注ぐ。
ハニャンはくぅちゃんを抱きしめ、深くうなずいた。
「約束するの。ハニャン、はじめるね。」
雲の道の先で、小さな鐘がちりん、と鳴った。
ハニャンの“優しさ集めの旅”が、今、始まる。
ラファエルの癒しのことば(くぅちゃん)
「優しさは、覚えるものじゃないよ。
気づくたびに、心の中で育っていくんだ。」
【今日のハニャンが見せた優しさと癒し】
ハニャンは、「みんなの幸せを願う気持ち」を素直に言葉にしました。
その想いを胸に、たくさんの優しさと癒しを集め、届けたいと決意しました。
純粋な願いと学ぶ覚悟が、優しさの旅の第一歩になっています。
【今日のハニャンが学んだ優しさと癒し】
“幸せになる正解”はひとつではないことを知りました。
だからこそ、日々の中で気づく小さな優しさが大切だということも学びました。
誰かの「いま」を受け止め、背景を想って肯定すること――その積み重ねが、
きっと誰かの心をやわらかくするのです。
K.ハニョン癒しのあとがき
優しさは、特別な日にだけ必要なものじゃありません。
何気ない一瞬にふっと寄り添う、そんな優しさこそが、
あなたの大切な人の心を支えることがあります。
ハニャンのように、小さな気づきを大事にしてみてくださいね。
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