第3話 はじまりの約束

朝の光が、雲の窓からふわっと差しこんだ。

ハニャンは、くぅちゃんを両手でそっと抱きしめながら、空のむこうを見つめていた。

「みんなが幸せだと、ハニャン嬉しいの……」

つぶやいた声は、雲の庭にすっと溶ける。

そのとき――穏やかな声が、どこからともなく降りてきた。

「ハニャン。」

ハニャンは肩をびくっとさせて、きょろきょろ。

「か、神さま……?」

「うむ。」

声はやさしく笑った。

「お前は、どうしたい?」

「ハニャンね、みんなを幸せにしたい。泣いてる心が、ふわっと軽くなるように。

それで……ハニャンも、いっしょに嬉しくなりたいの!」

「良い願いだ。」

「だが“幸せになる正解”は、ひとつではない。正解は無いとも言える。

けれど、それを実現する方法は無限にある。」

ハニャンは首をかしげた。「むげん……?」

くぅちゃんをぎゅっと抱く。くぅちゃんの毛は、今日も少しクタクタだ。

「お前が憧れるラファエルも、天使になったばかりの頃は言っておった。

『優しさと癒しで、みんなを幸せにしたい』とな。」

「ラファエル……ハニャンの大好きな、あの——」

「そうだ。わたしはラファエルにこう告げた。

『もし優しさと癒しで人々を幸せにしたいのなら、まずは幾千もの優しさと癒しを知り、

それを自分の力へと昇華してみよ』と。」

ハニャンは目をぱちぱちさせる。

「ハニャンも……できるかな?」

「できるとも。小さな気づきからで良い。

誰かの『いま』をそのまま受け入れる優しさ。

背景を想って、そっと肯定する優しさ。

差し出す手、待つ心、寄りそう沈黙……。

それらを経験して学び、自分の翼にしていくのだ。」

風が、くぅちゃんの耳をふわっと揺らした。

ハニャンは胸の前で両手をぎゅっと握る。少しもじもじ、でも目はきらきら。

「……ハニャン、やってみたい!

たくさんの優しさと癒しを見つけて、集めて、みんなに届けたいの!」

「よい返事だ、ハニャン。」

「では、はじまりの約束だ。

見つけた優しさを、誰かの明日にそっと結びなさい。」

光が、羽のような粒になって降り注ぐ。

ハニャンはくぅちゃんを抱きしめ、深くうなずいた。

「約束するの。ハニャン、はじめるね。」

雲の道の先で、小さな鐘がちりん、と鳴った。

ハニャンの“優しさ集めの旅”が、今、始まる。

ラファエルの癒しのことば(くぅちゃん)

「優しさは、覚えるものじゃないよ。

気づくたびに、心の中で育っていくんだ。」

【今日のハニャンが見せた優しさと癒し】

ハニャンは、「みんなの幸せを願う気持ち」を素直に言葉にしました。

その想いを胸に、たくさんの優しさと癒しを集め、届けたいと決意しました。

純粋な願いと学ぶ覚悟が、優しさの旅の第一歩になっています。

【今日のハニャンが学んだ優しさと癒し】

“幸せになる正解”はひとつではないことを知りました。

だからこそ、日々の中で気づく小さな優しさが大切だということも学びました。

誰かの「いま」を受け止め、背景を想って肯定すること――その積み重ねが、

きっと誰かの心をやわらかくするのです。

K.ハニョン癒しのあとがき

優しさは、特別な日にだけ必要なものじゃありません。

何気ない一瞬にふっと寄り添う、そんな優しさこそが、

あなたの大切な人の心を支えることがあります。

ハニャンのように、小さな気づきを大事にしてみてくださいね。

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