さっきのおじいちゃんは、また別のママと赤ちゃんのところに来ていた。
産まれたばかりの赤ちゃんと初対面して、小さな手をそっと握りながら、にっこり微笑んで声をかけた。
「さっきの男の子みたいに、優しい子に育つんだよ。」
その声には、温かさと願いが込められていた。
ハニャンは、おじいちゃんのまわりにふわっと優しい光が広がるのを見て胸がぽかぽかになった。
「なんか、この後にも優しさが続きそう…」
そう感じたハニャンは、少し成長した姿でおじいちゃんのあとをこっそりついていくことにした。
くぅちゃんは、そんなハニャンを見て「おっ!?」と心の中で声をあげる。
ハニャンが“優しさの連鎖”を感じ取ったことに気づいて、くたびれた顔を少し誇らしげに緩めた。
――その日の夕方。
混雑した満員電車の中、おじいちゃんは席に腰を下ろしていた。
実は、さっき親切な若い女性が「どうぞ」と譲ってくれた席だった。
「ありがたいねぇ」と胸の中で感謝しながら、おじいちゃんは電車に揺られていた。
あと二駅ほどで降りる頃、小さな男の子とママが乗り込んできた。
男の子は大人の背の高さほどの吊り革に届かなくて、ママの手をぎゅっと握って立っていた。
人の波の中で、不安そうにしながらも一生懸命に立っている小さな姿を見て、おじいちゃんの胸にまた温かい気持ちが広がっていった。
おじいちゃんは自然と立ち上がり、やさしい声で言った。
「私はすぐ降りるから、ここへ座りな。どうぞ。」
ママは少し驚いたあと、にこっと笑い「ありがとうございます」と答えた。
男の子も「ありがとう!」と元気に頭を下げた。
ハニャンは目を丸くして、くぅちゃんにこっそり囁いた。
「やっぱり…優しさは続いていくんだね!」
くぅちゃんは、包み込むような声で「そうだな」と優しく返した。
電車の中に広がったその小さな優しさの光は、ハニャンの心にもしっかりと刻まれていた。
【ハニャンが見せた優しさと癒し】
おじいちゃんのあとをついていったハニャン。
「優しさが続くかもしれない」と信じて行動したことが、すでに優しい応援そのものになっていました。
【ハニャンが学んだ優しさと癒し】
優しさは「一度きり」ではなく、誰かの心に残って次の行動を生み出す。
ハニャンはその“優しさのリレー”を初めて自分の目で確かめることができました。
ハニョンのあとがき 〜K.ハニョンより〜
優しさは、ひとつの場面だけで終わらず、次の場面へと自然につながっていきます。
赤ちゃんに向けた「優しい子に育つんだよ」という願いが、その日の夕方には電車での行動に現れていました。
誰かにしてもらった優しさが、自分の中に残り、また別の誰かへと渡っていく。
その繰り返しが、日常の中に小さな光を灯していくのだと思います。
あなたの今日の優しさも、きっと誰かの心の中で光となり、また次の誰かへと伝わっていきます。
どうぞ、そんな小さな優しさを大切にしてみてくださいね。
今日も読んでくれて、ありがとう。
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