ハニャンは、胸をぽかぽかさせながら天界へ戻ってきた。
これまで見てきたママやパパ、赤ちゃんの姿が、心の奥にあたたかく残っている。
「神様ぁ!ハニャンね、たっくさん見てきたよ!」
両手をぱぁっと広げて、ハニャンは嬉しそうに報告する。
「ママの優しさがパパを癒して、パパの優しさがまたママを助けて、赤ちゃんもその優しさを受け取ってにこにこしてて……
やっぱり優しさってぐるぐる回って大きくなるんだね!」
神様はやわらかく微笑み、ゆっくりと頷いた。
「そうだね、ハニャン。よく気づいたね。それが“優しさの循環”なんだよ。」
その言葉に、ハニャンの胸はまたいっそう温かくなる。
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神様は少し真剣な表情になって続けた。
「ハニャン。ここからは“見て学ぶ”だけじゃなく、自分で行動してみるといい。
まだ人間にはハニャンの姿は見えないけれど……
そっと撫でたり、優しく声をかけたりすれば、必ずその想いは伝わるはずだよ。」
「え!?……で、でも……」
ハニャンは目をまんまるにしながら、少し後ずさる。
「こっそり見てるだけなら大丈夫だけど……近づいて見つかっちゃったら……ハニャンちょっとこわい……」
その様子を見ていたくぅちゃんが、優しい声で言った。
「ハニャン、大丈夫。まだ見習い天使のハニャンの姿は、人間の目には映らないよ。
姿は見られないけど、行動に移すことで必ず今まで以上に気持ちは伝わる。
何かあっても、ぼくがついてるから安心しておやり。」
「……ほんとに?」
「ほんとだよ。」
くぅちゃんの落ち着いた声に、ハニャンのこわばっていた肩がふっとゆるむ。
「……うん。ハニャン、やってみる!」
ぎゅっと小さな手を握りしめ、ハニャンは決意の瞳を輝かせた。
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K.ハニョンのあとがき
優しさを「見る」だけではなく、「自分で表す」ことは勇気がいります。
臆病さや不安は、誰にでもある自然な感情。
でも、その一歩を踏み出すことで、相手に伝わる想いはぐんと大きくなるのです。
ハニャンもついに、優しさを行動に移す一歩を踏み出します。
ここから始まる新しい物語を、ぜひ一緒に見守ってくださいね。
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